エアコン一台での全館冷房とは
簡潔にいうと、2階に設置したエアコン一台を24時間動かし、家全体を快適な温度・湿度にすることです。
エアコン一台で家中を冷房するなんてできるの?
一部屋に一台エアコンを付けるのが普通だよ。
一条の家に住むまでは、このようにわたしも考えていました。
ですが今は、実際にエアコン一台のみを使って夏場とても快適に過ごせています。
除湿され湿度が管理されますから、夏場ありがちなジメジメした環境にならず、ダニやカビの発生が抑えられ衛生的に暮らせます。
なぜエアコン一台だけで家全体を冷房・除湿できるのか。
それは一条工務店の家が高気密・高断熱だからです。
家の外に通じる隙間がすごく少ないです。あわせて壁や断熱材や窓が高性能です。
ですので夏は涼しく、冬は暖かい室温を維持することができます。
高性能な家だからこそ、こんなことができるのですね。
これから一条工務店で家づくりを始める方、エアコン一台での全館冷房に興味はあるけれどよくわからない!というひとに向けての記事となります。
これを読めば、全館冷房とはなにか?その全体像が分かるとおもいます。
エアコン一台での全館冷房は、家が建ったあとで導入しようとしても、エアコン設置位置などの工夫が必要なため実現が難しいです。
ですので興味のあるかたは、ぜひ最後まで見てみてください。
以下は、わたしが家を建てる前に参考にさせていただいたフエッピーさんのサイトです。
とても詳しく説明されています。
おかげで全館冷房を実現することができました。
https://iiie296.com/?page_id=28
エアコンを設置する位置
エアコン一台での全館冷房を実現するために、エアコンを設置する最適な場所があります。
それは階段をあがった先のホールや通路です。
階段は二階と一階が通じている場所ですから、この位置にすることで、二階も一階も冷房・除湿することができるのです。
冷たい空気は下にいきます。逆に暖かい空気は上にいきます。
一階のエアコンを使っても冷気は上に行かないため、エアコン一台での全館冷房はできません。
空気の性質を考え、二階にエアコンを設置する必要があります。
そしてエアコンからの冷気が全部一階に行かないようにエアコンの向きを考えます。
階段あがって間正面にエアコンがこちらを向いているような位置は避けましょう。
上の画像のように横に設置すると、一階にも二階にも空気が送れます。
またあまりにも家の端の方にエアコンが設置されていると、端から端まで冷房・除湿することが難しいです。
階段は家の中央に向かって上がるように設置すると、自然とエアコンの設置位置も家の中央付近になり適切な位置となります。
実現しやすい家の間取り
リビングイン階段が適しています。
吹き抜けとなっている階段を伝って、冷気が一階全体に流れやすいためです。
実際にエアコン一台での全館冷房をしている我が家の間取り図を参考に説明します。
暖気は上にあがりエアコンで冷房・除湿され、冷気が下に降りるというイメージです。
リビングイン階段にすることで全館冷房は容易に実現できます。
逆にリビングイン階段ではない場合には、エアコンとリビングが扉でふさがれているでしょうから、うまく実現できない可能性があります。
扉でふさがれると空気の流れが遮られるため全館冷房・除湿がうまく機能しません。
ですので部屋の扉を開放しておく必要があります。
トイレ・浴室・洗面所などを常時開放しておく必要はありません。
第一種換気システムを機能するため、一条の家は扉を閉めても少しの隙間ができるようになっています。
なのでトイレや洗面所などの扉を閉めきっても、そこまで暑くはなりません。
開放が必要なのは、人が長い時間を過ごすため快適に保ちたい居室です。
これはエアコン一台での全館冷房唯一のデメリットと言えるものです。
慣れればそういうものだと思え、気にならなくはなります。
わたしの家は居室の扉全開放です。
家族とはいえプライバシーを考え扉をしめきりたい人は、エアコン一台での全館冷房自体を導入するか要検討です。
エアコンの動かし方の工夫
エアコンは24時間稼働し続けます。
そしてエアコンの設定を以下のようにします。
- 冷房運転で基本23℃設定
- 風量は最小にする
- 風向きを下にする
エアコンは周囲の温度を基準にして動いています。
設定温度に達すると、それ以上冷やしすぎないようにエアコン室内機は送風のみするようになります。
このとき家の外にある室外機は止まり室内の熱を外に出さなくなります。
この機能をサーモオフといいます。
再度室温があがると冷房・除湿を再開します。
サーモオフとなると除湿しなくなるため、室温が低いのに湿度がどんどんあがります。
ジメジメとした不快な室内となってしまうのです。
サーモオフを起こさないために、設定温度を低めにし、冷やしすぎないように風量を最小に、エアコン周囲の温度が下がらないように風向きを下にします。
こうすることでエアコンはサーモオフを起こさず除湿し続け、室内がカラッと快適な環境になります。
またエアコンは再熱除湿機能のあるものにしてください。
梅雨時など、気温が低いのに湿度の高い季節の設定が容易になります。
そして24時間エアコンを動かし続け、窓は開けません。
窓を開けると暑く湿った外気が入ってしまいます。
一条の家は、どの家も第一種換気システムを搭載していますから、窓を開けての換気は不要です。(窓を開けて換気したい!というかたもいるとは思うのですが)
エアコンの最適な大きさ
エアコンは6畳から29畳程までの大きさが販売されています。
当然ですが大きいほど機器の値段も高く、動かすための電気代も高くなります。
ですから無駄に大きなエアコンを買ってはいけません。
高気密・高断熱な一条工務店の家。
30坪ほどの大きさの家なら6畳用のエアコン一台で全館冷房できます。
エアコンの畳数は昔(なんと50年以上前)に無断熱の家を基準に業界が設定しています。
一条の家で、リビングの畳数そのままの26畳用のエアコンなど使おうものなら、冷え過ぎて寒い!電気代高すぎ!となるでしょう。
わたしの家は39坪ほどです。2階にあるエアコンは8畳用にしました。
エアコンの大きさの目安は以下のとおりです。
- 延床面積が30以下~34坪程の家で6畳用のもの。
- 35坪~40坪程の家で8畳用のもの。
- 41坪以上の家で10畳用のもの。
ただし家の間取りや、後述する日射制御ができているかで、エアコンの適切な大きさは変化します。
大きな窓が複数あり日中の長い時間リビングの奥まで日射が入る家と、日射制御され室内に入る熱が少ない家では必要なエアコンの大きさが違います。
その家の環境により変化しますが、上の目安は日射制御がある程度なされた家での目安となります。
南向きに3マス分程ある大きなパノラマウィンドウや、大型の窓などを付け、しかも軒や庇を付けずに日射制御をまったくしていない間取りの家では、一つ大きなエアコン(例:延床面積の目安が6畳なら8畳のエアコン)を考慮した方がいいかもしれません。
それほどに日射制御しないと室内は暑くなり、室温・湿度の制御がむずかしくなります。
日射制御を考えた家の外観にする
家の中に熱が出入りする場所は、窓などの開口部が多くの割合を占めます。
窓からの直射日光を防ぎ、室内が熱くならないように工夫する必要があるのですね。
日射制御とは軒(のき)や庇(ひさし)を利用して、熱の入り方をコントロールすることです。
軒や庇があることで、夏は日射をさえぎり涼しく、冬は日射を取り入れて暖かくできます。
軒や庇の無い家では夏に室内に熱が入りすぎてしまい、全館冷房が困難になってしまうのです。
家の中に熱が入る大部分を占める窓ですが、その大きさと位置も重要です。
大きな窓が複数ある家は当然そこから多くの熱が入ります。
とはいえ、小さな窓しかない家は多くの人にとって望むものではないでしょう。
ですから大きな窓を配置する方角を考えます。
太陽の動きから東と西からの日射は、上からではなく斜めに入ってくるため軒や庇で防ぐことが難しいです。
南からの日射は太陽が上にあるため防ぎやすいです。
窓を大きく見た目よく、かつ日射制御も両立するためには、南に大きな窓を置き、その窓の上に軒や庇を置き日射を防ぎます。
そして東と西の窓を大きくしすぎないこと。
東と西からの日射は斜めに入ってくるため、軒・庇で防ぐことが難しいからです。
特に西の窓を大きくすると夕方西日が部屋の奥まで差し込み、眩しい+暑い!となりますので設置には注意が必要です。
以上のように、日射制御を考え熱が家に入るのを防ぐことで、全館冷房を効果的に行えます。
エアコンの電気代
エアコン1台を24時間稼働し続けることになりますが、電気代は高くありません。
エアコンを何台も動かすよりも省エネです。
地域や電力会社によっても料金は変わります。
詳細な電気代はここでは割愛。
エアコンは付けたり消したりを繰り返すほうが電力消費が多くかかります。
弱運転を継続しても電気代は高くならないのです。
エアコンを何台も購入しなくてすみ、将来壊れた際の買い替え費用やメンテナンス費用も抑えられます。
金銭的にもエアコン1台での全館冷房は優れています。
まとめ
以上、エアコン一台での全館冷房とはどういったものなのかをお伝えしました。
まとめとして、打ち合わせ段階で考慮すべきは以下。
- エアコンを設置するのは2階あがってすぐのところ。
- リビングイン階段にすると簡単に実現できる。
- エアコンは大きすぎないものにする。再熱除湿機能のあるものを選ぶ。
- 日射制御を考えて窓・軒・庇を設置する。
以上のことを実践し、実現することができました。
夏の屋外が温度35℃以上・湿度70%と、とても蒸し暑い日にも、全館冷房をしている家の中は室温25℃台・湿度50%台とカラっと快適な環境にできています。
夜に寝苦しいとか皆無ですよ。
エアコン一台での全館冷房は、導入するのに間取りやエアコン位置など工夫することが必要ではありますが、省エネで金銭的にも優しく、とても快適に生活できるためオススメです!
家の間取りを考えているかたへ
いまの間取りで家を建てたら、本当に生活しやすいでしょうか?
その土地で可能な間取りはいくつもあり、色々な可能性があります。
家づくりでは、特に間取り決めは大変かもしれません。しかし間取りだけは家が建った後では変えられません。
「あの時もっと検討しておけばよかった…」と、ずっと後悔してしまうかもしれません。
今の数ヶ月、少しがんばるだけで、これからさき何十年も後悔がない家に住めると思えば。
大変だけど…せっかくの注文住宅だし、もう少し考えてみよう。
一人の設計士さんだけにまかせず、他の可能性も検討してみませんか?
自分達では考えつかなかった間取りが、まだあるかもしれません。
わたしは実際、限られた土地の中で自分達の理想の間取りを作るのに本当に悩みました。
担当の設計士さんと考える以外にも、ネット上の情報を見たりもしましたが、なかなかうまくいかず、どんどん時間だけが過ぎ、とてもたいへんな思いをしました。
自分達だけで悩まず、無料でできる間取り作成サービスをもっと早くしておけばよかった…と後悔しました。
色々な間取りのアイディアをもらえたことで、違う視点から物事を考えられたことが大きかったと思います。
結果、今とても満足のいく間取りの家に住めています。
簡単な入力をするだけで、多数の住宅会社から間取りの提案をもらえます。